面倒見の良い短大に向けて
2008年1月28日(月) 朝日新聞朝刊29頁
「全入時代 短大踏ん張る 面倒見の良さで成功例も」(上原佳久、山本晴美)を読む
「6割が定員割れ」という見出しの淡々としたミニ解説、泣けます。2007年度、短大は全国に435校あり、学生数は18万7千だが、6年間で124校、10万3千人が減った結果とか。そして日本私立学校振興・共済事業団の調査では、365校の私立短大のうち6割が定員割れ。過去最悪だそうです。142法人の5割も実質的な赤字とか。
厳しい経営状況の「成功例」として2つの方向の異なる事例が紹介されている。まず、山梨県内の市立短大である。公立短大で学生数約460名だが、2006年度の編入合格者がのべ72名。「4年制大へのジャンプ台」と評されている。東京から来る予備校講師による「小論文講座」など、毎週の「編入学ガイダンス」が重要なようだ。
第二に、石川県内の私立短大。幼児教育学科は「教育と学生が常にふれあう『手づくりの教育』」が特色という。2005年に共学化し、現在850名のうち70名が男子。大学教員は原則的に朝8時45分から夕方4時15分まで勤務時間。40人程度のクラスの担任は、学生の「就職から恋の悩みまで、何でも」相談にのるなど、「高校の先生に近い」状態だ。
たしかに2つの短大は方向こそ異なるが、根は同じのように思う。もちろんどちらも「生き残り」をかけた戦略だということ。またいずれの方向も、学生や保護者に支持されていること。そして「完成教育」としての教育目的を失ってしまっていることだ。その結果、学生はスケジュールをこなすのに精一杯、という点もおそらく共通している。
前者の公立短大は、国公立大へのレールという意味で戦前の「予科」のようだ。または東大医学部を志望し、「理Ⅲ」でなく「理Ⅱ」からの進学を狙う・・・・・といった感じだろうか。いずれにしてもその2年間は、あらたな2年のための「受験勉強」の期間となる。
後者の私立短大は、女子短大によく見られる体質ではないだろうか。短大教員は、まさに「手取り足取り」学生の面倒を見る。その過程で、学生にマナーや自学習慣も習得させることも目標の一つ。資格や免許も得て、学生は充実感・達成感があるだろうが・・・・・。
経営サイドのことばが気になる。教員には「研究より教育に注力してもらって」いるというものだ。研究か教育か、というフレーズは近年よく目にするが、「研究」なき「教育」はあり得ない。「教育」ということばが、授業や「担任制度」などの直接的な学生指導の言い換えであればまだしも、教育環境を整えるための「学務」、さらに言えば、「学務」を成り立たせるための諸作業であるとしたら・・・・・。「教育重視」という反論できない語法で、「教育」をおとしめてはならないと強く思うこの頃である。
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投稿: みんな の プロフィール | 2008年2月 8日 (金) 06時11分