「セレブ学童保育」の時代
「廃止・衣替えされる学童保育 放課後の行き場失う小学生」『東洋経済』2008年5月17日号、96-98頁 を読む
「子ども格差:このままでは日本の未来が危ない!」という特集号。OECDによると、日本の子どものいる世帯の貧困率(中位可処分所得50%未満世帯に所属する17歳以下の子どもの比率)は14%に達するという。さらに見過ごせないのは、ひとり親世帯の場合の貧困率は57.3%に及び、OECD24カ国平均の30%強をはるかに上回り、トルコに次ぐ2位という結果。こうした「格差」をふまえ、「子ども格差」特集号は海外、そして日本の子どもの深刻な格差の実態と政策動向を紹介している。
その中で、学童保育の記事があった。リードには、「働く親を持つ子どもが放課後を過ごす学童保育。『全児童への開放』を理由に廃止が進む。」とある。学童保育は、いわゆる「保育に欠ける子ども」を預かる福祉施設であり、子どもにとって「第二の家庭」という位置づけのはず。しかし、この記事で紹介されている川崎市の「わくわくプラザ」はとりわけ有名となったが、「すべての小学生」を対象とした施策が広がりつつある。
全児童対策事業として一律に、すべての子どもを、という悪しき平等主義的発想は、「またか.....」という印象。すし詰め状態の部屋で(「難民キャンプ」、と言われているとか)、しかもパートのスタッフがほとんどで互いの顔がよくわからない状態で、放課後を過ごす子どもは居心地がよいのだろうか。放課後「そこで過ごさざるを得ない」子どもと、「気が向いたら来る、いつでも帰れる」という状態の子どもを公的な空間で一括してしまうとは.....。
学童保育は1970、80年代から親の切実な増設運動を背景に、全国で普及した。そして最近では、この記事でも枕詞のように書かれているように「共働き家庭の増加により、学童保育を必要とする子どもが急速に増えている」、つまり、「働く(母)親」が増えたため、という状況認識がある。
最近の学童保育は、一昔前の「鍵っ子」も入所していると思う(子ども一人で留守番は危ない、という意識が高まったことは素直にうれしい)。夫がサラリーマンという家庭で、「保育園→学童保育」というルートは、それこそ一昔前は祖母(義母?)に「そんなところに子どもを預けるなんて!」と非難されたりしたのだろうが、今では抵抗感がかなり薄くなっているとも思う。しかし、この記事では「手厚い」自治体として文京区が紹介されていて、学童にも地域格差があることがわかる。そして、民間の、お金に糸目を付けないような「学童」も広がっているようだ。
この記事で紹介されているのは株式会社運営の「キッズ・ベース・キャンプ」。入会金2万1000円、週5日利用で月4万2000円也。東京、神奈川に9施設あり、「セレブ学童」とも呼ばれているようだ。ネイティブの英会話講師やアーティストなどによるイベント、希望者には夕食もある。そして、自宅まで専用車で送迎してもらえるサービス付きとか。
こうした「セレブ学童」は他にも、「こどもみらい塾」(恵比寿)などがある。学習塾を学童代わりに、という傾向は昔からあったと思うが、「家庭的」な塾のような感覚だろうか。もっとも富裕層であっても、受験勉強は必要ない、というニーズも高いと思うので、こうした施設はもっと増えるだろう。子どもの放課後は確実に変わりつつあると思うが、まさに格差、棲み分けの時代である。
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