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「家庭教育」フィーバー?!

本田由紀『「家庭教育」の隘路:子育てに強迫される母親たち」勁草書房、2008年 を読む

本田さんは、「ニート」や女性、若者の仕事や生活の問題を、社会学のアプローチで、明晰に、そして一般人(?)の視点で見て、わかりやすく書ける人だと思う。「家庭教育」という絶対的善いことに向けて、政策的かつ心理的・盲目的に追い立てられる今日の母親像を、タイトルの「隘路」という怪しい言葉で、最初から見事に示してみせる。「隘路」という言葉は、「哀」にも、「アイロニー」にも見えてきて、母親の哀しさを超えて、「格差」が広がって教育環境・教育的言説そのものの行き詰まりを連想させる。

圧巻は母親インタビューである。おそらく、「母親」でもある本田さんだからこそ、世間話のように引き出せた「お母さんたち」のことばは、本当にリアルだ。そして、話し方や言葉、話題の端々から、本田氏の指摘する「連続的なグラデーションの形」をとった格差が歴然と見えてくる。母親の学歴により、そしてそれは経済的資源はもとより文化的資源につながり、それぞれの家庭教育のベクトルを規定している。

その他、内閣府の「青少年の社会的自立に関する意識調査」を用いた分析が行われている。これは、15〜29歳の子どもと、それぞれの父母に対する調査が同時に行われており、興味深い。「のびのび」と「きっちり」の子育てのどちらが、子どもにどのように影響を与えるのか(成績や最終学歴!)、社会階層から連続した道筋が見えてくる。

本田氏の指摘と同じく、公的な学校教育において充分な学力保証ができるよう、また学校外教育も保証されるよう、政策的な配慮が今こそ必要だと思う。ボランティアや地域住民.....といった不確定な善意を期待するのでなく、財政支出を惜しまずに。

ちょうど、10月21日の朝日新聞朝刊に、「『認定子ども園』整備進まず」、「『学童クラブ』じわり改善へ」という2つの記事が並べて載っていた。前者は、幼稚園と保育園を合わせた認定子ども園が目標値の1割にとどまっていること、後者は、放課後児童クラブ(学童保育)の全国1万3千人の待機児童数が昨年より900人減った、という調査結果である。いずれも、公的な保育が充分に進まない現状のあらわれだと思う。「私費」で幼稚園+早期教育+.....と進む層と、公教育・保育が充分に受けられない層と「見える格差」が広がり、中間ゾーンの(父親でなく)母親は限りなく追いつめられるのだ。

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