石井筆子という素晴らしい教育者
遅ればせながら「筆子・その愛:天使のピアノ」(2006年、現代ぷろだくしょん)を見に行った。素晴らしかった。
日本で初めてつくられた知的障害児教育施設である滝乃川学園(国立市谷保)の創設者、石井亮一の妻となり、障害児教育に文字通りその身を捧げた(昭和19年没)。
私なりの発見は3つ。
一つは、「石井亮一」に妻がいたこと!一般的に、教育学系のテキストには「滝之川学園=石井亮一」としか書かれていない。
二つ目は、その妻、石井筆子の生い立ち。肥前大村藩士の長女として生まれ、維新後は父は男爵に、叔父(薩長同盟結成に協力?)は子爵に叙せられたほどの名家であったこと。そして、筆子自身、津田梅子とともに2年ほど留学し(フランスとオランダ)、設立後間もない華族女学校でフランス語教師を務めていたこと(梅子はもちろん英語教師)。
三つ目は、華やかな交際録である。津田梅子をはじめ、渋沢栄一の娘、歌子と親交があり、「五美人」の一人とも呼ばれ「鹿鳴館の華」であったこと。映画の中でも、筆子の教え子であった貞明皇后の義捐金を、渋沢歌子と津田梅子が持参するシーンがあった。
とにかく、明治期の社交界と教育、また女性教育者のルーツをたどる意味でも優れた映画であった。筆子役は常盤貴子で、はまり役だった。
山田火砂子監督は、次作として巣鴨と北海道の家庭学校を作った留岡幸助の映画「大地の詩」を制作中、とのことであった(当日、舞台挨拶があった)。
鑑賞券(制作協力券)を購入してでわずかなりでも応援したい!と思うが、できれば華族女学校つながり(?)で、華族女学校を出て附属の幼稚園の保母となり、四谷に貧困児童対象の二葉幼稚園をつくった野口幽香と森島峰の物語も、ぜひ作っていただきたい!と思った。
先月、滝之川学園に行く機会があった。欧風建築の歴史ある校舎は改修され、「筆子のピアノ」を期待する見学者も増えているようだ。静謐として、うっそうとした木立のなかの環境と、誠実なスタッフの様子は、石井亮一・筆子夫妻の理想が今もいきづいていることを感じさせる。
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